αが実数でない複素数の時(α-|α|)/(α+|α|)が純虚数となる

1. まえがき

 24年度国立理系入試問題220、筑波大学(理工学部)というのがあった。面白そうなので解いてみた。

2. 問題

 定数αは実数ではない複素数とする。
(1)  \dfrac{α-|α|}{α+|α|} は純虚数である。
(2)  \dfrac{β-|α|}{α+|α|} が純虚数となる純虚数βはただ一つ存在する。
(3) 複素数zを  \dfrac{z-|α|}{α+|α|} が純虚数となるように動かすとき、|z|が最小となるzをαで表せ。

3. 計算

(1)
  α=re^{iθ} とおく。当然、 r≠0,\ θ≠0,\ π である。
    \dfrac{α-|α|}{α+|α|}=\dfrac{re^{iθ}-r}{re^{iθ}+r}=\dfrac{e^{iθ}-1}{e^{iθ}+1}=\dfrac{(\cos θ-1)+i\sin θ}{(\cos θ+1)+i\sin θ}
      =\dfrac{( (\cos θ-1)+i\sin θ)( (\cos θ+1)-i\sin θ)}{(\cos θ+1)^2+\sin^2θ}
      =\dfrac{(\cos^2θ-1)+\sin^2θ+i(-(\cosθ-1)+(\cosθ+1) )\sinθ}{2+2\cosθ}
      =\dfrac{0+i2\sinθ}{2+2\cosθ}=\dfrac{i\sinθ}{1+\cosθ}=i\tan\frac{θ}{2}≠0

(2)
 β=ib とおく。

    \dfrac{β-|α|}{α+|α|}=\dfrac{ib-r}{re^{iθ}+r}=\dfrac{ib/r-1}{e^{iθ}+1}=\dfrac{-1+ib/r}{(\cosθ+1)+i\sinθ}
      =\dfrac{(-1+ib/r) ( (\cosθ+1)-i\sinθ)}{(\cosθ+1)^2+\sin^2θ}
      =\dfrac{-(\cosθ+1)+(b/r)\sinθ+i( (b/r) (\cosθ+1)+\sinθ)}{2+2\cosθ}
 これが純虚数になるには
    -(\cosθ+1)+(b/r)\sinθ=0
    b=\dfrac{r(\cosθ+1)}{\sinθ}=\dfrac{2r\cos^2\frac{θ}{2}}{2\sin\frac{θ}{2}\cos\frac{θ}{2}}=\dfrac{r}{\tan\frac{θ}{2}}
 すなわち、αに対してβはただ1つ存在する。

(3)
  z=Re^{iφ} とおく。
    \dfrac{z-|α|}{α+|α|}=\dfrac{Re^{iφ}-r}{re^{iθ}+r}=\dfrac{(R/r)e^{iφ}-1}{e^{iθ}+1}
      =\dfrac{( (R/r)\cosφ-1)+i(R/r)\sinφ}{(\cosθ+1)+i\sinθ}
      =\dfrac{( (R/r)\cosφ-1+i(R/r)\sinφ) ( (\cosθ+1)-i\sinθ)}{(\cosθ+1)^2+\sin^2θ}
 同様に、これが純虚数になるには(実部の分子が0)
    ( (R/r)\cosφ-1)(\cosθ+1)+(R/r)\sinφ\sinθ=0
   \ →\ (R/r)(\cosφ(\cosθ+1)+\sinφ\sinθ)-(\cosθ+1)=0
   \ →\ R=\dfrac{r(\cosθ+1)}{\cosφ(\cosθ+1)+\sinφ\sinθ}
 ここで、Rを最小にするには右辺の分母
    A=\cosφ(\cosθ+1)+\sinφ\sinθ
が最大のときである。φで微分して
    A'=-\sinφ(\cosθ+1)+\cosφ\sinθ=0
   \ →\ \tanφ=\dfrac{\sinθ}{\cosθ+1}=\tan\frac{θ}{2}
    \ →\ φ=\frac{θ}{2},\ \text{or}\ \frac{θ}{2}±π
の時となる。これは停留点なので最大と最小のいずれかとなる。
(a) φ=θ/2のとき
 ①から
    R=\dfrac{r(\cosθ+1)}{\cos\frac{θ}{2}(\cosθ+1)+\sin\frac{θ}{2}\sinθ}
      =\dfrac{2r\cos^2\frac{θ}{2}}{2\cos^3\frac{θ}{2}+2\sin^2\frac{θ}{2}\cos\frac{θ}{2}}=r\cos\frac{θ}{2}
 ところが、π<θ<2π のとき、R<0(A<0) となり、これは最大でなく、0<θ<π の時となる。すると
    z=Re^{iφ}=r\cos\frac{θ}{2}e^{i\frac{θ}{2}}=r\cos\frac{θ}{2}(\cos\frac{θ}{2}+i\sin\frac{θ}{2})
      =\dfrac{r(1+\cosθ)}{2}+i\dfrac{\sinθ}{2}=r/2+(r/2)(\cosθ+i\sinθ)
      =(|α|+α)/2

(b)  φ=θ/2±π のとき
 同様に、
    R=\dfrac{r(\cosθ+1)}{\cos(\frac{θ}{2}±π)(\cosθ+1)+\sin(\frac{θ}{2}±π)\sinθ}
      =\dfrac{2r\cos^2\frac{θ}{2}}{-2\cos^3\frac{θ}{2}-2\sin^2\frac{θ}{2}\cos\frac{θ}{2}}=-r\cos\frac{θ}{2}
 R>0 となるのはπ<θ<2πの時となる。
    z=Re^{iφ}=r\cos(\frac{θ}{2}±π)e^{i(\frac{θ}{2}±π)}=-r\cos\frac{θ}{2}(-1)(\cos\frac{θ}{2}+i\sin\frac{θ}{2})
      =\dfrac{r(1+\cosθ)}{2}+i\dfrac{\sinθ}{2}=r/2+(r/2)(\cosθ+i\sinθ)
      =(|α|+α)/2
 いずれにしても
    z=(|α|+α)/2
となる。

以上

2と3で割り切れない自然数の列を求める

1. まえがき

 2と3で割り切れない自然数の内小さい方から並べて数列  (a_n) を作る。このとき、次の問題に答えよ。という和歌山大学の問題があった。

(1)  a_n\gt 1000 となる最小のnを求めよ。
(2)  a_{1000} の値を求めよ。
(3)  \displaystyle\sum_{n=1}^{1000} a_n を求めよ。

2. 計算

 まず求める a_n の概要を見てみる。mを自然数として
  ・6mの数列は2,3で割れるので不可。
  ・6m±2=2(3m±1)で2で割れるので不可。
  ・6m±3=3(2m±1)で3で割れるので不可。
 結局、6m±1 が2,3で割れない、求める数列となる。

  3   6   9   12   15   18   21   24   27   30・・・ ・・・・3mの数列
       6        12          18          24          30・・・ ・・・・6mの数列
   5 7    11  13    17  19    23  25    29  31・・・ ・・・6m±1の数列 ( a_n)
     a_1 a_2 a_3\ a_4 a_5\ a_6 a_7\ a_8 a_9\ a_{10}・・・

 したがって、6(m-1)と6mの間に、6(m-1)+1=6m-5と6m-1 の2つの求める数列がある(m=1の時、6m-5は無いので1つ)。
 つまり、m=1,2,3,…としたとき、6m 以下の  a_n の個数 nは 2m-1とわかる。この nに対して、 a_n は6mの直前、6m-1 である。
 これはnが奇数の時だから、nが偶数、2mのときは、その一つ上、6m+1 となる。以上をまとめると
    a_n=\begin{cases} 6m-1 & (n=2m-1)\\6m+1 & (n=2m)\end{cases} ・・・①
となる。

(1)
 したがって、 a_n\gt 1000 となる最小の nは m=167 として  a_n=6m-1=1001 だから①により
 n=2m-1=2・167-1=333
となる。

(2)
 nが偶数だから、①により、n=2m=1000 → m=500 となる。したがって a_n=6m+1=3001 となる。

(3)
 和を奇数番項と偶数番項に分けて
    \displaystyle\sum_{n=1}^{1000}a_n=\sum_{m=1}^{500}(6m-1)+\sum_{m=1}^{500}(6m+1) =\displaystyle2\sum_{m=1}^{500} 6m\\=12・500・501/2=1,503,000

以上

微分演算子法で (D²+a²)y=x sin(ax+b) の特殊解を求む

1. まえがき

 微分演算子法で次の特殊解を求める問題があった。
    \dfrac{1}{D^2+a^2}x\sin(ax+b)=\dfrac{1}{4a^2}(x\sin(ax+b)-ax^2\cos(ax+b))\ (a≠0)

2. 計算

 これは以下のように公式
    \dfrac{1}{D^2+a^2}\sin(ax+b)=\dfrac{-1}{2a}x\cos(ax+b)\ (a≠0)
の導出の方法が使える。

  P(x)を任意関数とすると公式
    \dfrac{1}{f(D)}[e^{ax}P(x)]=e^{ax}\dfrac{1}{f(D+a)}P(x) ・・・・・①
を使う。P(x)=xとすると
    \dfrac{1}{D^2+a^2}[e^{i(ax+b)}x]=e^{ib}\dfrac{1}{D^2+a^2}[e^{iax}x]
      = e^{ib}e^{iax}\dfrac{1}{(D+ia)^2+a^2}x =e^{i(ax+b)}\dfrac{1}{D(D+i2a)}x
      =e^{i(ax+b)}\dfrac{1}{D}\dfrac{1}{i2a}(1-\dfrac{D}{i2a}+\dfrac{D^2}{(i2a)^2}-\cdots)x
      =\dfrac{e^{i(ax+b)}}{i2a} \dfrac{1}{D}(x-\dfrac{1}{i2a}+0) = \dfrac{e^{i(ax+b)}}{i2a} (\dfrac{x^2}{2}-\dfrac{x}{i2a})
      =\dfrac{e^{i(ax+b)}}{4a^2} (\dfrac{-iax^2}{2}+x)
 この式の左辺の虚部は掲題の式の左辺になる。したがって右辺の虚部を求めればよい。それは
    \dfrac{1}{4a^2}(x \sin(ax+b)-ax^2\cos(ax+b))
となる。
 この式の実部をとると
    \dfrac{1}{D^2+a^2} x \cos(ax+b) = \dfrac{1}{4a^2}(x \cos(ax+b)+ax^2 \sin(ax+b))
を得る。
 なおこの方法で計算は面倒だが P(x)=x だけでなく多項式であっても解けそうである。


3. あとがき

 似た問題があった。
    \dfrac{1}{D^2+9}x \cos x=\dfrac{1}{8}(x \cos x+\dfrac{\sin x}{4})
の特殊解の証明。
 上の公式①で、a→i とし、  f(D)=D^2+9,\ P(x)=x とすると

    \dfrac{1}{D^2+9}[e^{ix}x]=e^{ix} \dfrac{1}{(D+i)^2+9} x
       =e^{ix} \dfrac{1}{(D+i)^2-(i3)^2} x=e^{ix} \dfrac{1}{(D+i4)(D-i2)} x

//ここで、
//  \dfrac{1}{(D+i4)(D-i2)}=\dfrac{1}{8} \dfrac{1}{(1+D/(i4))} \dfrac{1}{1-D/(i2)}
//   =\dfrac{1}{8}(1-D/(i4)+D^2/(i4)2-\cdots)(1+D/(i2)+D^2/(i2)^2+\cdots)
//   =\dfrac{1}{8}(1+D/(i4)+\cdots)
//だから

      =e^{ix}\dfrac{1}{8}(1+D/(i4)+\cdots)x=e^{ix} \dfrac{1}{8} (x+1/(i4)+0)
        =\dfrac{1}{8}e^{ix} (x-i/4)

 この式の左辺の実部は掲題の式の左辺になる。したがって右辺の実部を
求めればよい。それは
      \dfrac{1}{8}(x \cos x+\dfrac{\sin x}{4})
となり、証明された。

以上

2a!=b!やa!+b!=2c!を満たす自然数a,b,cを求める

1. まえがき

 面白い九州大学の問題があった。

(1) 自然数a,bがa<bを満たすとき、b!/a!≧b が成り立つことを示せ。
(2) 2・a!=b! を満たす自然数a,bをすべて求めよ。
(3) a!+b!=2・c! を満たす自然数a,b,cをすべて求めよ。

2. 計算

(1)
 a<b なので、a≦b-1、b!=b×(b-1)! すると b!≧b×a!、b!/a!≧b

(2)
 2×a!=b! なので、a<b、(1)より b!/a!≧b つまり 2≧b>a
 b=1 のとき、1=b>a、また、a≧1 だから、矛盾でこのような条件はない。
 b=2の時、2=b>a だから a=1
 条件を満たす自然数の組は(1,2)のみ。

(3)

 式の対称性から、a≦bと仮定しても一般性は失わない(a,b,cが解なら、a,bを入れえたものも解)。
   2a!≦a!+b!=2c!≦2b! → a≦c≦b・・・・・①
・c≦b だから、
(a)
 まず、c<b のとき(1)から、b!/c!≧b、また, a!>0 だから
   b!<a!+b!=2c!
 これらをまとめると
   bc!<2c! → b<2 → b=1
 ところが、c<b=1 の条件に矛盾し、このような場合は無い。
(b)
 c=b のとき
   a!+b!=2c!=2b! → a!=b! → a=b
 したがって、
   a=b=c
 が解になる(a,bを入れ替えも変わらない)。


以上

定速度 V で原点から y軸上を直線運動をする人に向かって,x軸上から一定の速さ U で、人を追いかける犬

1. まえがき

 以下のような人を追いかける犬の問題があった。以前のMSの入社試験に似ている。

2. 問題

 定速度 V で原点から y軸上を直線運動をする人に向かって,一定の速さ U で、人を追いかける犬がいる。図のように、犬の初めの位置は x 軸上の座標 a の位置にあったとする。以下の問いに答えよ。

 (1) t 秒後の 犬の位置を (x, y) とすると、犬の速度  (v_x, v_y) の成分の比\ \dfrac{v_y}{v_x} を求めよ。
 (2)  \dfrac{dy}{dx}\ および\ \dfrac{d^2y}{dx^2}\ を x,\ y,\ t,\ V を用いて表わせ。
 (3)  Uを \dfrac{dx}{dt},\ \dfrac{dy}{dx} を用いて表わせ。
 (4) (2)、(3) より犬の進路曲線の微分方程式(t を含まない微分方程式)を導け。
 (5) U=V の場合、犬の進路曲線の微分方程式を解け。
 (6) U=V の場合、犬が人に近づきうる最終距離を求めよ。

3. 計算

 時間微分をドット  \dot{x},\ \dot{y} であらわす。

(1) 犬は常に人に向かっているから、速度の比(犬の軌跡の傾き)は、人と犬の座標差の比に等しいので
     \dfrac{v_y}{v_x}=\dfrac{\dot{y}}{\dot{x}}=\dfrac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}}=\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{Vt-y}{-x}=\dfrac{-Vt+y}{x}・・・・①

(2) ①から
     \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{-Vt+y}{x}・・・・②
 y(x) のグラフを求めるには、②から tを消さねばならない。そこで②を変形した  x\dfrac{dy}{dx}=-Vt+y を tで微分したとき

     \dot{x}\dfrac{dy}{dx}=\dot{x}\dfrac{\dot{y}}{\dot{x}}=\dot{y},  \dfrac{d}{dt}(\dfrac{dy}{dx})=\dfrac{d^2 y}{dx^2}\dfrac{dx}{dt}=\dfrac{d^2 y}{dx^2}\dot{x}

を使って
     \dot{y}+x(\dfrac{d^2 y}{dx^2})\dot{x}=-V+\dot{y}\ →\ \dfrac{d^2 y}{dx^2}=-\dfrac{V}{x\dot{x}} ・・・・③
となる。

(3)
   \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{\dot{y}}{\dot{x}} だから
     U^2=\dot{x}^2+\dot{y}^2=\dot{x}^2 (1+(\dfrac{\dot{y}}{\dot{x}})^2)=\dot{x}^2 (1+(\dfrac{dy}{dx})^2)
   \dot{x}≦0\ だから、U≧0 にとれば
     U=-\dot{x}\sqrt{1+(\dfrac{dy}{dx})^2} ・・・・④
となる。

(4)
  ➂④から
     \dfrac{d^2 y}{dx^2}=\dfrac{V}{Ux}\sqrt{1+(\dfrac{dy}{dx})^2}

(5)
  U=V だから
     \dfrac{d^2 y}{dx^2}=\dfrac{1}{x}\sqrt{1+(\dfrac{dy}{dx})^2}
  p=dy/dx とおくと
     \dfrac{dp}{\sqrt{1+p^2}}=\dfrac{dx}{x}\ →\ \text{log}|p+\sqrt{1+p^2}|=\text{log}|x|+A\\ →\ \dfrac{p+\sqrt{1+p^2}}{x}=±e^A
 ここで改めて  ±e^A\ ⇒\ A(≠0) とおくと
     p+\sqrt{1+p^2}=Ax
となる。
  x=a\ のとき、p=\dfrac{dy}{dx}=0\ だから、A=\dfrac{1}{a}
     \sqrt{1+p^2}=\dfrac{x}{a}-p\ →\ (1+p^2)=(\dfrac{x}{a})^2-2\dfrac{x}{a}p+p^2\  →\ p=\dfrac{x}{2a}-\dfrac{a}{2x}
 積分して
     y=\dfrac{x^2}{4a}-\dfrac{a}{2}\text{log}\,x+B
     y(x=a)=0 だから、B=\dfrac{a}{2}\text{log}\,a-\dfrac{a}{4}
 ゆえに
     y=\dfrac{x^2}{4a}-\dfrac{a}{2}\text{log}\,x+\dfrac{a}{2}\text{log}\,a-\dfrac{a}{4}=\dfrac{x^2}{4a}+\dfrac{a}{2}\text{log}\,\dfrac{a}{x}-\dfrac{a}{4}

(6)
     y'=\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{x}{2a}-\dfrac{a}{2x} だから
     (xy')^2=(\dfrac{x^2}{2a}-\dfrac{a}{2})^2

 人と犬の距離Dは限りなく、x → 0 だから
     D=\sqrt{(Vt-y)^2+x^2}・・・・②を入れて
      =\sqrt{(xy')^2+x^2}=\sqrt{(\dfrac{x^2}{2a}-\dfrac{a}{2})^2+x^2}\ →\ \dfrac{a}{2}

以上

 

2020-06-01 gooより移動

正方形の四隅の犬4匹が隣の犬を追いかける、MSの試験から。

1.まえがき

 MSの試験という

 「犬が4匹いて、それぞれ正方形の頂点、4つの角にいます。それぞれの犬は時計回りに隣の犬を同じ速さで追いかけます。必ず時計回りの隣の犬にまっすぐ向かうように、走る向きを調整しながら走っています。それぞれが隣の犬に追いつくのにかかる時間はどれだけか。また、そうなる位置はどこか。

 というのがあった。解説は微積を使わず、ある時点で隣の犬の進行方向が直交することを使用していたが、その論証がなく、入社試験はよいとして、数学的には不備だったので、検討した。


2.微積分による解法

 数学的に単純な設定にするため、座標の原点を正方形の中心にとり、反時計回りに犬2が犬1を追いかける場合を考える。犬の軌跡は対称だから、原点を中心に90゜回転しても変わらない(つまり、ある時刻の犬1,2の進行方向は直交する)。犬1の座標を(x,y)とする。すると犬2の座標は上のことから(-y,x)となる。正方形の1辺の長さを Lとする。

 ある時刻における犬1,2の位置の傾きは  \dfrac{y-x}{x-(-y)}=\dfrac{y-x}{x+y} であり、これが犬1の軌跡の接線  \dfrac{dy}{dx} に等しい。この微分方程式を解くと、logとArctanが混じった訳の分からない関数式を得るが、極座標にするとすっきりとした曲線となる(元の解答から推理して)。
 したがって、後出しジャンケンで、極座標の式で考る。

 条件は  \dfrac{dy}{dx}=\dfrac{y-x}{x+y} である。 x=r\cosθ、y=r\sinθ微分して( r' =\dfrac{dr}{dθ} として)
  \dfrac{dx}{dθ}=r'\cosθ-r\sinθ、\dfrac{dy}{dθ}=r'\sinθ+r\cosθ および   \dfrac{y}{x}=\tanθ を条件式に代入して整理すると  r=-r' をえる。この解は
    r=k\;e^{-θ}           ・・・・・・・(1)

 初期条件、 θ=\dfrac{π}{4} のとき\ r=\dfrac{L}{\sqrt{2}} より、
    k=\dfrac{L}{\sqrt{2}}e^{\frac{π}{4}}・・・・(2)
となる。これは対数螺旋の式であり、r → 0 つまり、原点に収束する。

3.曲線の性質

 犬の軌跡の曲線の長さsを求めてみよう。時間tをパラメータに取ると公式より
   s=\int_0^t \sqrt{ (\dfrac{dx}{dt})^2+(\dfrac{dy}{dt})^2} dt=\int_0^t  vdt=vt ・・・・・(3)

 ここで、犬の速さをv(定数)とした。また、パラメータをθにとると公式より
   s=\int_{π/4}^θ \sqrt{ r^2+(\dfrac{dr}{dθ})^2} dθ=k\sqrt{2}\int_{π/4}^θ e^{-θ}dθ
    =k\sqrt{2}(-e^{-θ}+e^{-\frac{π}{4}})\ →\ (k\sqrt{2}e^{-\frac{π}{4}}=L (θ→∞、(2)より)

 この式と、(3)により、犬が出会う時間は  t=\dfrac{s}{v}=\dfrac{L}{v} となる。

 ここで不思議なことは、犬が出会うまでに、犬は原点の周りを無限回回り、角周波数ωは
   vt=s=L(1-e^{\frac{π}{4}-θ}) を微分して v=-Le^{\frac{π}{4}-θ}(-\dfrac{dθ}{dt}) 
   ω=\dfrac{dθ}{dt}=\dfrac{v}{L}e^{θ-\frac{π}{4}}\ →\ ∞(θ→∞)

となる。


補足
 x,y の微分方程式を解くと  \sqrt{x^2+y^2}=k\exp(-\tan^{-1}\dfrac{y}{x}) となるが、x,yの関係で見ると訳が分からない関係だが、変数変換すれば(1)だった。


以上

2019-03-06 gooより移動

1のn乗根の作る級数

1. まえがき

 1のn乗根の1つを
    ω=\cos(\dfrac{2π}{n})+i\sin(\dfrac{2π}{n})
とすると
   (1)  A_n=ω+ω^2+\cdots+ω^{n-1}=-1
   (2)  B_n=\dfrac{1}{1-ω}+\dfrac{1}{1-ω^2}+\cdots+\dfrac{1}{1-ω^{n-1}}=\dfrac{n-1}{2}
   (3)  C_n=\sin(\dfrac{2π}{n})+\sin(\dfrac{4π}{n})+\cdots+\sin(\dfrac{2(n-1)π}{n})=0
を証明せよ、という問題があった。


2. 計算

 (1)  ω=\exp(\dfrac{i2π}{n})\ →\ ω^n=1 だから
     1+ω+ω^2+\cdots+ω^{n-1}=\dfrac{1-ω^n}{1-ω}=\dfrac{1-1}{1-ω}=0
 すなわち
     A_n=ω+ω^2+\cdots+ω^{n-1}=-1
となり、これは簡単。
 (2)   \dfrac{1}{1-w^k}=\dfrac{1}{1-\cos(\dfrac{2kπ}{n})-i\sin(\dfrac{2kπ}{n})}
       =\dfrac{1-\cos(\dfrac{2kπ}{n})+i\sin(\dfrac{2kπ}{n})} {(1-\cos(\dfrac{2kπ}{n}))^2+\sin^2(\dfrac{2kπ}{n})}
       =\dfrac{1-\cos(\dfrac{2kπ}{n})+i\sin(\dfrac{2kπ}{n})} {2-2\cos(\dfrac{2kπ}{n})} ・・・半角・倍角の公式
       =\dfrac{2\sin^2(\dfrac{kπ}{n})+i2\sin(\dfrac{kπ}{n})\cos(\dfrac{kπ}{n})} {4\sin^2(\dfrac{kπ}{n})}
       =\dfrac{1}{2}(1+i\cot(\dfrac{kπ}{n}))

 ここで
     \cot(\dfrac{π(n-k)}{n})=\cot(π-\dfrac{kπ}{n})=-\cot(\dfrac{kπ}{n})
 したがって、和の左右両端の組の和は0になるから
     \sum_{k=1}^{n-1}\cot(\dfrac{kπ}{n})=\begin{cases} 0 & (n:奇数)\\ \cot(\dfrac{πm}{2m})=\cot(\dfrac{π}{2})=0 & (n=2m : 偶数) \end{cases}
 ゆえに、
     B_n=\sum_{k=1}^{n-1} \dfrac{1}{2} (1+i\cot(\dfrac{πk}{n}) )=\dfrac{n-1}{2}

 (3) (1)から、両辺の虚部をとれば
     C_n=\sin(\dfrac{2π}{n})+\sin(\dfrac{4π}{n})+\cdots+\sin(\dfrac{2(n-1)π}{n})=0
 当然、実部を取れば
     \cos(\dfrac{2π}{n})+cos(\dfrac{4π}{n})+\cdots+cos(\dfrac{2(n-1)π}{n})=-1
も自明。

3. あとがき

  1,\ ω,\ ω^2,\cdots,\ ω^{n-1} が1のn乗根だから、n次式の根と係数の関係から簡単に解を求めている別解があった。

以上

2023-05-03 gooより移動